白銀の女神 紅の王
「しかし…後宮に女を囲っていると言うから、不抜けた男になり下がっていたかと思えば、相変わらずで安心したぞ」
相変わらずソファーに踏ん反り返って茶を飲むデュークが先程よりも愉しそうに笑う。
「ッ………!」
「デューク、貴方何でそれを!?」
思わぬ話題に一瞬目を見開き、ウィルは盛大に驚く。
「家臣共の間で噂になってるぞ?女には氷の様に冷たい陛下が後宮に女を入れたと」
自分たちの反応に満足したのか、ククッと面白そうに笑うデューク。
「お前の心を射止めた女だ。俺も興味がある、会わせろ」
まるで相手が断る事を知らない物言い。
それが人に者を頼む時の態度か。
しかも、自分の主に対して。
しかし、この男にそれを言っても無駄だと言う事は昔から分かっている。
こう言う時は素直に会わせてやればいい事だ。
昔からそうしてきた。