白銀の女神 紅の王



体が引き寄せられるように、光に照らされた父と母の方へ向かう。




『お父様……お母様…ッ』

切ない声を上げながら。




『お父様!お母様!』

しかし、数歩歩いたところで“何か”が私の体をすり抜けて父と母の所へ走って行った。

それは小さな女の子。

歳はそう…10歳くらいの。




小さい頃のわたし……?


けれど髪の色が違う。

走って行った女の子を父が抱き上げ、母がその女の子に微笑む。





一瞬で理解した―――

あの女の子はマルベル家の娘…

つまり私の妹だ…と。

妹は今年で10歳。

ちょうどあの子くらいの年頃だろう。




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