白銀の女神 紅の王
スラリとした長身に目鼻立ちの通った青年。
赤みが入った茶色い髪に特徴的な漆黒の瞳。
女性よりも美しい顔立ちをしているその青年は、笑顔一つで誰もを魅了してしまうだろうと思うくらいで…
シルバも容姿端麗の部類に入るが、デュークはシルバとはまた違った魅力で人を引き付ける容姿をしていた。
「俺はコイツの従兄のデューク・ノーイだ」
あろうことかこの国の王を親指で指し、そう言う。
シルバはムッと顔をしかめるが、何も言わないところを見ると、従兄と言うのは本当の事だろう。
「デューク…さん……?」
「あぁ、よろしくな、エレナ」
砂糖菓子を転がす様にその人の名を呟けば、眩いばかりの笑顔で手を差し出してくる。
初対面ながらもデュークからは好意的な様子が伺え、おずおずと手を取る。
まだ少し警戒の色をにじませながら…
「こちらこそ、よろしくお願いします」
デュークの手は細いものの大きな手で、女性よりも美しい顔立ちをしているが、やはり男性なのだと思った。