白銀の女神 紅の王



対するデュークはそんな不機嫌なシルバもスラリとかわし…



「はいはい、了解しました陛下」

降参というように両手を上げクツクツと笑う。

が、そんなデュークの態度にシルバの機嫌は益々悪くなる。

緊迫した雰囲気に渦中の私は不安気に事の次第を見守る。

ウィルやニーナ達侍女も二人の様子にオロオロとしていた。





「ちょっと挨拶しただけだろ。そんなに怖い顔するな」


シルバはデュークの言葉でやっとチッと悪態をつき、荒々しく手を放す。




「行くぞ、デューク、ウィル」

背中を向けて後宮を去ろうとするシルバ。


「あの……ッ…」

どんどんと去っていくシルバの後ろ姿に向かって声を掛ける。


「何だ」

立ち止まって振り返ってはくれたものの、まだ機嫌が悪い様子。

怯える自身を感じながらも、恐る恐る口を開いた。



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