白銀の女神 紅の王
白昼の城下
宴があった日から数日後―――
体調は段々と良くなり、この日は「後宮にばかり籠っていてはもやしになってしまいます」というニーナの意味不明な言葉により、中庭に出てお茶を楽しんでいた。
美味しい紅茶に色とりどりのお菓子。
ニーナ達侍女に囲まれとても楽しいティータイムをすごいていた。
しかしそこに嵐がやって来た。
「エレナ、城下へ行くぞ」
いきなり現れ、意気揚々と告げたのはシルバの従兄のデューク。
「城下に…?」
告げられた言葉に驚き思わず聞き間違いではないか問い返す。
「何だ?行きたくないのか?」
ニヤッと笑ってそう言ったデュークに慌てて首を振る。
「いいえ、城下には言ってみたいと思っていました。…けどデュークさんは帰らないで良いのですか?」
常ならば城外勤務のはずであるデュークは私が目を覚ました日からずっと王城にいる。
散々シルバに煙たがられていたらしいが、本人が頑として王城から動かなかったらしい。
本来ならば国境付近の警備にあたる彼が、こんなところにいて大丈夫なのだろうか…と心配だった。
「あぁ、大丈夫だ」
しかしそんな心配も一言で済まされてしまう。