白銀の女神 紅の王



「それよりもエレナこそ大丈夫なのか?」

ジェスは心配そうにそう聞く。

それもそうだろう、あの日連れ去られる様にして賭博場を出て行ったのだから。




「あの男たちにエレナを連れ去った目的を聞いても答えてくれなかったし。何のためにシルバ様はエレナを王城へ連れて行ったんだ?」

「それは……」


言いかけて口をつぐむ。

それは言ってはいけない決まりだったから。

反乱分子を見つけるために自分が利用されている事を、周囲の人間が知ってしまえば警戒されると言うシルバの言葉に従わなければならない。




「僕にも言えないの?」


その言葉にコクンと頷けば、そう…と言うジェスの寂しげな声。

言ったらジェスにも危険が及ぶかもしれない。



「エレナ、僕は君を絶対あそこから助け出すよ」

「ッ……!」

ジェスの告白にルビーを見つめていた目を見開く。


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