白銀の女神 紅の王
「駄目よ…そんなことしたらあの人がどう出るか……」
ジェスの言葉は嬉しいけれど相手はこの国の国王。
立ち向かうにはあまりにも大きな権力だった。
そうでなくともシルバはジェスを警戒していると言うのに。
きっと私を助け出そうとしたことがバレてしまえば、シルバは取り戻そうとするだろう。
なにしろ私には莫大なお金がかかっているから。
「大丈夫だよ。僕に任せて」
「ジェ「エレナ、もう行くぞ」
ジェスにシルバの危険性を伝えようとしたが、デュークの声によって阻まれる。
「怪しまれているね。僕はもう行くよ。またね、エレナ」
「ジェス…ッ!」
スッと立ち上がり、店を出て行くジェス。
小さい声でジェスの名を呼ぶが、すでに通りへ出ていた。
助け出すなんて無理なのに……
どうかジェスが無茶をしませんように…
そう思いながら、宝石店を後にした。