白銀の女神 紅の王
一通り白昼の城下を楽しみ、王城に戻って来た一行。
辺りは夕日に染まり綺麗な橙色に染まっていた。
馬車から降り王城のエントランスに歩いて向かっていると…
「楽しかったですね、エレナ様」
久しぶりに仕事を忘れ、はしゃいでいた侍女が楽しそうにそう言った。
「えぇ、また行きたいわ」
思った通り城下は素敵だった。
見るもの全てにワクワクして、いつまで居ても飽きない場所だった。
「俺はもうごめんだ」
うんざりとした様子のデュークに思わず笑みがこぼれる。
こんなにも連れまわされるとは思ってもいなかったようだ。
デュークの溜息交じりの言葉に侍女たちも笑いながら歩いていると…
「あっ…陛下!」
前方を見てそう言ったニーナの言葉に、ビクッと体を震わせる。