白銀の女神 紅の王
「エレナ様!」
キーンと耳に響く様な高い声に、我に返る。
パチパチと目を瞬かせながら目の前の膨れ顔を見つめる。
「また別世界へ行っていましたね!」
ぷくーっと頬を膨らませ、眉を吊り上げるニーナ。
「ご、ごめんなさい。」
即座に謝る。
シルバが後宮に帰ってくるようになってから、物思いにふける事が多くなった。
避けられていた時のもやもやはなくなったのに、今度は胸が締め付けられるような感覚が襲うのだ。
それは決まって、シルバと一緒に居る時で……
それを思い出す度に、難しい顔をしたり、顔を赤らめているのを、いつもニーナに指摘される。
そして今日も―――
「今日もシルバ様の事ですか?」
ズバリ当てられた。
「なっ……ち、違うわ!」
当りなのに、否定するのもいつもの事。