白銀の女神 紅の王

囁きかける者




翌日の朝――――


温かい……

夢と現実のはざまで揺れる意識。

その中で知覚したのは、温かい手触り。


そして……

ソファーって、こんなに柔らかかったかしら……


自分の体を包む柔らかな感覚に、また夢の世界へ落ちそうになるが。

天窓から差し込む光が、もう起きろと言わんばかりに照らす。

目を閉じていても感じるその光に導かれる様に、段々と意識が覚醒していく。



「んっ……。」


ふるふるっと睫毛を震わせ、瞳を開けば――――


「えっ…………。」

ぼやけた視界の向うに見えたのは、真っ白なシーツ。


ここは、ベッド……?

仰向けになれば、天蓋が目に入り、やはりベッドに寝ている事を確信する。


なんで……?

確か、昨日の夜、最後に記憶があったのはソファーの上。

なのに、どうやってベッドまで移動したのか。



まだ覚醒しきっていない頭で考えていると――――


< 259 / 531 >

この作品をシェア

pagetop