白銀の女神 紅の王



「勝手にしろ。」

結局、答えが出ずに、投げ出す。



「言われなくとも勝手にするさ。王城に着いたら、ゆっくり話したい事もあるしな。」

笑みを浮かべていたデュークが側近としての顔つきになる。



「僕もシルバにご報告しなければならない事があります。」

ウィルもか……

……このタイミングと言う事は、今回の暴動収拾と視察に関係のある事だろうな。



「王城で聞く。早く帰るぞ。」

そう言って、馬を走らせる速度を上げる。



「しかし、何故こんなに急いで王城に帰る必要があるんだ?」

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら聞いてくるデューク。

先程、真剣な顔つきになったかと思えばコレだ……

本当に可愛げもない奴だな。



「お前には関係のない事だ。」

普段ならば、イースト地区だと一日王城を開ける事が多い。



しかし、今日中に帰ると決めたのは―――

チラリと頭の端に映った昨日のエレナを振り払う。

依然として、ニヤニヤと意地の悪い笑みを深める側近を振り切る様にして、王城へ急いだ。



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