白銀の女神 紅の王




そう言うことか…



あの女がこれを取りに戻った理由。

それは、この手紙に、エレナが自分の行方を書いたのだと勘違いしたからだろう。


回収しようと戻って来た時に、護衛に捕らえられたということか。

哀れな女だ……

この手紙には、女の恐れていた様な事は、何一つ書かれていなかったというのに。




そこで、ギリッと歯を食いしばる。





金は返す?

ッ……ふざけるな!

グシャッと力任せに、手紙を握りつぶす。


いつ、俺が金を返してほしいと言った。

いつ、俺がお前を解放してやると言った。


金など要らない。



お前は、まだ俺のものだ、エレナ……

俺から離れる事は許さない。

込み上げる怒りを感じながら、夜は更けて行った――――




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