白銀の女神 紅の王
再会と裏切り
『女は大丈夫なのか?』
誰の声………?
真っ暗な中、声だけが頭の中で響く。
『薬で眠らせているだけだ。』
あぁ……だから真っ暗なのね……
『もし女に何かあれば、俺たちがやられるんだからな!』
『大丈夫だと言っているだろ。』
ここはどこ……?
あの人たちは……?
小さな声で、小競り合う声を聞きながら、頭の端で記憶をたどる。
私は確か……
ジェスを助けに行くために王城を出て。
城下までの道を歩いていたら――――
「ッ………!」
不意に、パチッと目を開く。
目に入るのは、蝋燭の明りだけで照らされた小さな小屋のような部屋。
その中心にあるテーブルを囲う男達。
途端に、頭の中で警鐘を鳴らす。
ここにいては危険だ……と。
しかし、腕と足にはきつく縛られた縄が食い込み、動けない。
その縄から逃げるように、身じろぎをしていると…
「起きたか。」
身動きしたのを目ざとく見つけた一人が、こちらへ近付く。