白銀の女神 紅の王
「わたしを…どうするつもり……?」
震える声を抑えながら、男たちを見上げる。
「俺たちのボスに会ってもらう。」
ボスって……
そう言えば、前に男が私を攫おうとした時にもそんな事を言っていた。
そもそも、この男達の組織は、どう言った組織なのか。
何故、私をボスに引き合わせたいのか。
疑問は多々浮かぶけれど、悠長に考えている暇はなさそうだ。
私を王城から攫おうとした男のボスなど、良い人なわけがない。
きっと、「嫌です。」と言っても男たちは私を、そのボスの前へつき出す。
その前に、どうにかして逃げなきゃ……
イースト地区で、ジェスが助けを待っているのだから。
決意を新たに、ここからどう抜け出すか考えていた時だった。
キィー……―――
部屋の扉が静かに開けられる。
次いで、ぞろぞろと入って来た者達の先頭に立っている人物に、息を飲んで驚愕した……
「お久しぶりですな、エレナ様。」
粘着質な笑みを浮かべ、こちらを向くのは、一度しか会った事のない人物。
けれど、強烈なまでに印象に残こる人物だった…
「フォレスト伯爵……。」
掠れた声で、その人の名を呟く。