白銀の女神 紅の王
後宮って一体何のことだろう……
10歳から賭博場にいた私にとっては初めて聞く部屋の名前。
頭に疑問符を浮かべながら男に連れられる。
しかし大きな屋敷ね……
行けども行けども後宮と言う部屋につかない。
どこかの貴族のご子息か何かかしら……
所々に飾られている絵画や調度品の数々から、かなりの地位にいる者だと言うことは私にも分かった。
そんな見ていて飽きない屋敷の内部をくるくると見廻していると――――
「着いたぞ」
男の声で我に返る。
「ここが後宮…?」
扉を開いた先にある部屋に息を飲んで押し黙る。
後宮と言う部屋は賭博場が何個も入りそうなくらいに広く、天井も高かった。
部屋をぐるりと見渡してみれば、天蓋付きの大きなベッドに、ベルベット素材のソファー、床に敷き詰められたふかふかの絨毯など、どれも高級そうな調度品が設えてある。