白銀の女神 紅の王
驚いたような、困惑している様な顔のシルバ。
それが何だか可笑しくて。
けれど、シルバが無事なことに、心から安堵する。
「よかっ……間に…あっ…て……。」
カグッ――――
言い終えた瞬間、膝から崩れ落ちる様にして体から力が抜ける。
「ッ………!」
咄嗟にシルバが支え、私を抱える様にして引き戻す。
シルバの肩口に頭を寄せれば、心なしか、強い力で抱きしめられる。
そして、シルバは声を絞り出す様にして口を開いた―――
「何故だッ……何故こんな事をした!」
何故………?
ぼーっとする頭で考える。
そんなの決まってる……
「あ…なた……が………」
貴方が、大切だから。
私の命よりも、大切な人だから……
続く言葉が紡げなかったのは、意識が朦朧としていたからか。
それとも、自分の気持ちを打ち明けるのが怖かったからか……
最後まで伝える事なく、シルバの腕の中で意識を失った。
耳元で、私の名を叫ぶシルバの声を聞きながら――――