白銀の女神 紅の王
横には、エレナに熱い視線を送るロメオもいる。
気に入らない……
エレナを襲ったロメオを前に、ぐつぐつと、奥底から煮えたぎるような怒りを感じ…
苛立ちの元凶が集まったその場で、もう、自分を抑える事は出来なかった―――
アーク王国の再建と復興を妨げてきた反乱分子。
エレナを我がものにせんとするロメオ。
未だエレナの心に巣食っているジェス。
そして、両親の仇であるフォレスト。
全てが、気に入らない……
フォレストが、アーク王国の王位につく。
それは、この国の終わりを告げる事となる。
フォレストは、圧政を引いたかつての王、アイザックスの家臣。
金と欲にまみれた世界に埋もれていた奴に、国王の座を奪われるわけにはいかなかった。
そして、それはフォレストも同じ事。
俺がアイザックスから王位を奪わなければ、恐らくフォレストが次期王だった。
そこに割って入る様に国王についた俺の事を、それこそ、はらわたが煮えくりかえる様な想いで見てきた事だろう。
間に割って入ったエレナが、人質になろうとしたが……
フォレストとの因縁は、終焉を迎える時だった。