白銀の女神 紅の王
「今日からここで暮らしてもらう」
月明かりが射しこみ銀色の光で包まれた静かな中、男が言う。
そっと絨毯が敷かれた床に下ろされれば、沈みそうなほど柔らかい感覚を足に感じた。
「ここで……?」
「あぁ、そうだ」
おずおずと聞けば、表情固く男は答える。
この人の目的は何……?
てっきり牢屋にでも入れられて、能力の事や容姿の事について聞かれるのだと思っていた。
心を読めば分かることなのだろうが、なるべく能力を使いたくなかった。
「あの……」
バンッ――――――
自分を連れてきた理由を聞こうとしたその時、勢いよく後宮の扉が開かれる。