白銀の女神 紅の王



そして……


エレナが抱きついて来た次の瞬間―――




ドンッ――――


「ッ………。」




エレナの体越しに感じる、大きな衝撃。




自分でも、らしくないと思ったが……

一瞬、何が起きたのか理解できなかった。




けれど…

敵もが唖然と目を見開き、制止した光景と…

小さく漏れる苦痛の声。

そして、深々とエレナの背に刺さった矢が、まざまざと現実を訴えていた。





「エレ…ナ………。」

掠れた声で名を呼び、震える手で小さな背中に手を添えれば…

エレナの背に刺さった矢に、行きあたる。

確かに刺さっているソレに、焦りは現実のものとなった。




「よかっ……間に…あっ…て……。」



そう言って、ふわりと微笑むエレナに、ハッ…と息を飲む。


心臓が止まるかと思った……―――



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