白銀の女神 紅の王



「黙れ。」


溢れんばかりの激情を瞳に湛え、フォレストを睨みつける。



「お前たち…生きてこの場から逃げおおせると思うなよ。」

一歩一歩、フォレストへ向けて歩き出す。





「ッ……待て!」



待てと言うならば、かかってくればいい。

しかし、部下たちは、剣を構えているばかりで、かかってはこない。



ギロリと睨めば、うっ…とたじろぐ。


そんな男が狙いを定めたのは……

俺の後ろで地面に横たわるエレナ。


チラッ…と横目でエレナを視界に入れた所を逃さなかった。



「ッ……うぉぉぉッ……!」



ザシュッ――――

自分を奮い立たせる様な雄たけびを上げながら、隣を過ぎようとした男に、容赦なく剣を振るう。




下衆が………


エレナを狙ったのが、運のつきだ。





「ぐはっ………!」

男が、苦痛の声を上げ、ドスンと鈍い音を立てながら地面に倒れる。

周囲の者達は、ただ茫然とその光景を見ていた。





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