白銀の女神 紅の王



地面に倒れた仲間と俺を見て、額に汗をにじませる者たち。

驚きと、恐怖の入り混じった視線が集中する。



振り下ろした剣の先に倒れる男から、スッ…と顔を上げ…




「次に斬られたいのはどいつだ?」


冷たく低く……

そして、嫣然と、相手を見据えて言い放つ。




すると――――

剣を構えて固まったままだった男たちが動いた。



「うぉぉぉ………ッ!」

先程の男と同様、雄たけびを上げながら襲いかかって来る。

明らかな“恐怖”を瞳に滲ませながら…



それはまるで追いつめられた獲物。

最後の足掻きとばかりに見せる、一瞬の抵抗の様なもの。

そんな奴らがいくらかかってこようと、敵ではない。



キーンッ――――

ザシュッ――――


向かってくる男たちを、次々に倒す。

そして、最後の一人、エレナに矢を放ったであろう男を見据える。



ひっ…と小さく悲鳴を上げる男。

ぜぇぜぇと吐く呼吸は、陸に上がった魚の様だった。



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