白銀の女神 紅の王
スッ…と剣を男へ向ければ……
あ…うっ……と、言葉にならない声を上げて、剣を構えたまま後ずさる。
そして、次の瞬間―――
バッ…と体を翻し、反対方向へ駆けだした。
逃がすかッ……!
お前だけは………
素早く腰元に添えていた短剣を抜き、男の背に向かって投げた。
ザシュッ――――
男は、ぐはッ…と断末魔の叫びを上げながら、フォレストの目の前で息絶えた。
その光景を、驚愕のまなざしで見守るのは3人の男。
ただ茫然と見守っていたジェス。
恐怖に顔を引き攣らせたロメオ。
そして、額に汗を滲ませて悔しそうな表情をするフォレストだけだった。
「残ったのはお前たちだけだぞ。」
口元に獰猛な笑みを浮かべて、ゆっくりと、フォレストとロメオの元へ歩いて行く。
「ジェス!私達を守れ!」
その声にハッと我に返った様な反応を示し…
走って来たジェスが、俺とフォレスト親子の間に割り込んできた。