白銀の女神 紅の王



「ならば俺を止めるんだな。」



瞬間……―――

フォレストに向かって、走り出す。



「ッ………!」

それに反応したジェスは、すぐさま剣を振るうが…



キーン――……


まるで力の入っていなかったジェスの剣は、いとも簡単に弾け、空に舞った。




横をすり抜ける時に、チラッと視界に映ったジェスの表情は、何かを諦めた様な、悔しそうな表情をしていた。

それに納得のいかなかったのがフォレストで…



「ジェス!何をしているッ!」

剣が弾かれた音に、振り返ったフォレストは、走りながら怒鳴り声を上げる。



「私を裏切る気かッ!?」

その声に、後ろからの反応はなく、追ってくる気配もない。

何より、クソッ…と悪態をついたフォレストの表情を見ていれば、振り返って確認するまでもなかった。

フォレストとロメオは、ジェスが裏切ったと分かるや否や、馬に向けて一目散に走って行く。




途中、森の斜面に足を取られながらも、必死に走るフォレストたち。

視線の先に、フォレストたちが乗ってきたであろう馬が映る。



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