白銀の女神 紅の王



コクンッ―――――


エレナが解毒薬を飲んだのを確認して、唇を離す。

そして、再びエレナの背中に腕を回した。

未だ冷たい体に体温を分け与えるように、強く抱きしめ、じっと待つ。

周りで見守るデュークや部下たちも、固唾を飲んで見守っている。




すると………

「ッ………!」

トクンッ――――

トクンッ――――


弱々しかった心音が、一定のリズムを刻み出した。

顔を覗けば、白かった頬は僅かに赤みが差し始める。

それを目の当たりにし、ほっと息をつく。

張り詰めた緊張が、一気に解けた瞬間だった。

デュークや部下たちの表情も、思わずホッとした顔つきになる。




しかし、依然として危険な状態だと言うことに変わりはない。

容体が回復し始めているエレナの体を抱え、立ち上がる。



「王城へ戻るぞ!」

「はッ!」

声をそろえて応える部下たち。

王城に戻って、医師に見せるまで安心はできない。




必ず助ける………



そう胸に誓いながら、エレナを連れて王城へ戻った―――

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