白銀の女神 紅の王
6章 女神の微笑み
エレナの目覚め
真っ暗で、闇に支配された世界―――
冷たくて、孤独で……
この場所には覚えがあった。
けど……何故またここに?
闇の中を彷徨いながら考える。
確か…シルバを庇って矢にあたって…
眩暈と、息苦しさに襲われて、意識を失った。
ピタリと歩みを止める。
『私…死んだの?』
闇の中、ふわふわと漂う感覚に、そんな考えが過った。
最後に記憶にあるのは、シルバの焦った顔。
シルバは無事よね……?
今の自分が置かれている状況よりも、シルバの事が気になる。
だって、シルバはアーク王国の国王だから……
国民や家臣に慕われていて。
みんなから、必要とされている人。
あんなところで、いなくなってはならない人。