白銀の女神 紅の王



それに比べて私は…



どこに行っても無力。

それが嫌で必死で足掻くのに、私の想いとは裏腹に、大切な人を危機にさらしてしまう……

そして、自らはお荷物になる。



泉での交戦も、きっと私がいなかったら、シルバは勝てていた。

私を庇いながら、剣を振るい…

背中を向けてはいたけれど、私の事を気にかけていてくれた。

それが、とても嬉しくて、同時に、悔しかった。



だから、あの時駆け出した。

自分の命が犠牲になっても、貴方を守りたくて……

後悔はない。

私がいなくても、世界は廻るから。



ニーナや、ウィル、デュークさんは、悲しんでくれるかもしれない。

けど、一番欲する人に求められていないのなら、私はまた貴方のいる世界に戻る意味はないの……



暗闇の世界にいるからだろうか、思考までもが闇に支配される。

あれだけ、傍にいれるだけで良かったと思っていたのに。

自分がお荷物だと自覚した瞬間、その意思も簡単に砕け散る。





最初から、あの世界には私の居場所などなかったのだと考えればいい……


そう思って、より深い闇に踏み出そうとした時だった―――



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