白銀の女神 紅の王
しかし――――
シルバは我慢ならなかったようで、少し怒った様な表情をして…
「だから、大人しく休めと言ったんだ。」
怒りの中に滲む焦燥の色。
いつもの様にただ声を荒げるのではなく、そこには不器用な優しさが垣間見えた。
「ごめんなさい……」
目を伏せて、落ち込む。
「もういい。」
溜息と共に吐きだされる言葉。
ズキッ――――――
“もういい”
突き放すようなその言葉が胸に突きささる。
こんなことで、一々傷ついていたら、この先どうするというのか。
私はまだ、シルバに伝えるべき事を話していないのだから。
その事をを思って、更に黙り込んでいると…
フワッ―――――
片腕で抱えられていた体が、ふわりと空中に浮いた。
「ッ……シルバ?」
再び縮まる距離に喜びを感じながらも、無言で抱き上げるシルバが気になる。
頭上を見上げれば、軽すぎる…と呟く機嫌の悪そうな顔のシルバ。