白銀の女神 紅の王



「もう10時だ。寝ても良い時間だろう?」

部屋の時計を見て、そう言うシルバ。

うっ…と早くも言葉に詰まる。



「けど…「言い訳は聞かないと言った。」

ピシャリと言い放たれ、続く言葉が紡げず…



「はい……」

ポツリと呟き、シルバの胸に手をつき抵抗をみせていた体も大人しくシルバの腕の中に落ち着く。




けれど――――――


いきなり寝るなんて無理よ…

シルバからこんな風に抱きしめられて寝るのは、後宮に忍び込んだ男に連れ去られそうになった時以来で…

あの夜は、気が動転していて、気にならなかった。

むしろ、男の再来が怖くて、自分からシルバに抱きついたのを覚えている。

あの時は、この腕の中がとても安心出来て、すぐに眠りにつけたけど―――




ドキッ――――


ドキッ――――



内側から打ち破らんほどの勢いで鳴り響く心音。

こんなにも胸が高鳴るのは、もちろん目の前の人が原因なんだけど…

こうもピッタリと抱きしめられていては、この心音が聞かれまいかとヒヤヒヤする。

そんな私の気持ちと裏腹に、心音は大きく、速くなるばかりで…




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