白銀の女神 紅の王



「シルバ……?」


静寂の中、胸の高鳴りを聞かれたくなくて、おずおずと口を開いた。




すると――――


「何だ。」


律儀にもすぐに返答を寄こすシルバ。

ハッキリと通った声は、まだ眠る気配すらない。

問いを用意していなかった為、焦る。




「あ、あの……私はどのくらい眠っていたんですか?」


咄嗟に出てきたのは、最後の記憶がある時から今までの事。



「8日間だ。」

「8日間!?」


思っていたよりも長くて、思わず声が大きくなる。

同時に、シルバの胸にくっつけていた頭を上げようとするが、それはシルバによって阻まれた。

離れようとする私の頭を、大きな手で引き戻し、そのまま髪を梳く。




「お前に放たれた矢に仕込まれていた毒が原因だ。」


シルバは、私が8日間も眠っていたわけを話し始める。



けれど――――


こ、このまま話すの?

髪をすくっては、指を絡ませながら梳き。

優しく頭を撫でる手の方に意識が集中してしまって、気が気ではない。



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