白銀の女神 紅の王
そんな私の考えなど知る由もないシルバは、話し続ける。
「強力な毒で、危険な状態だった……」
そう言ったシルバの声は、心なしか覇気がなく。
対照的に、背中に回している手は、グッと強くなった。
「それで、私は8日間も眠りつづけたんですね。」
シルバのその行動に、何故か居た堪れなくなり、誤魔化す様に口を開く。
「いいや、毒は3日後に抜け切った。」
私の言葉をピシャリと否定するシルバ。
「お前が睡眠薬を飲んでいた事と、比較的早く解毒薬を摂取した事もあって、回復は早かった。だが、それでも目を覚まさなかったのは他に何かあったのだろう。」
「……………」
シルバの言葉に、口をつぐむ。
原因なら、何となく分かっている…
それはきっと、“あちら”の世界で、迷っていたから。
こちらの世界へ帰るか…帰らざるかを……
今でも、こちらの世界に帰って来た事は正しかったのかは分からない。
この先の事を思うと、不安でたまらない。
フッと体から力を抜けば、シルバのなすまま。
再度、抱きしめ直され―――
「理由などはどうでもいい。目を覚ましたのならそれで……」
シルバの口から出た言葉とは思えず、弾かれたように顔を上げれば…