白銀の女神 紅の王
それぞれの行方
チュン――――
チュン――――
小鳥の囀りが聞こえる……
遠くで鳴いているように聞こえるのは、まだ意識が覚醒しきっていないからだろうか。
天窓から射す朝日を感じるのに、瞼を開く事が出来ない。
何だか体も重いし……
「んっ………」
身動きしようとしても動けない苦しさに、小さく声を上げる。
そして、段々と意識が回復するとともに、その原因が何かが分かってくる。
腰と背中に回っているもの…
それは―――――
ゆっくりと瞳を開く。
輪郭がぼやけて、色彩しか追えない。
何度か瞬きをして、段々と視界がはっきりしてきた。
そして―――――
「ッ………!」
体を拘束していた“原因”を見て、大きく息を飲む。
シルバ………
私の腰と背中に回っていたのは、シルバの腕だった。
仰向けに寝るシルバの上に、重なる様にして抱きかかえられている。