白銀の女神 紅の王
涙の告白
スタッスタッ…――――
地下牢へ向かった時と同様、私のペースに合わせて歩くシルバ。
一言も発しない無言の背中を追う。
顔は見えないけれど、不機嫌だと言う事はすぐに分かった。
「ありがとうございます。」
誰もいない廊下で、その背中に向かって声をかける。
すると、ピクッと反応したが振り返りもせず…
「何の事だ?」
一言そう言って、歩き続ける。
機嫌が悪くなる一方のシルバ。
その原因は、なんとなく気付いていた。
「ジェスの事…」
不安を抱えつつも、ポツリと呟く。
すると――――
「アイツにとっては、国外追放よりも俺の為に働く事の方が罰になると思ったまでだ。」
シルバは、一層低い声で不機嫌も露わにそう言った。
「それでも、ありがとうございます。」
やっぱり、ジェスの話がいけなかったのね…
ジェスの話を出した時の、シルバの態度を目の当たりにしてそう思う。
思えば、ジェスの話をする時はいつも機嫌が悪かったわ。
出逢った時にシルバに刃向っていたのが原因かしら。