白銀の女神 紅の王



けれど、あの時はさすがのシルバもジェスが反逆者の一味だとは気付かなかったはず。

そんな人をいちいち気にかけるのだろうか…

口数が少ないせいか、シルバの考えている事は、いまいち良く分からない。



けれど……


ジェスに与えてくれた恩赦は、とても嬉しい。

あのような話を聞いた後で、ジェスが国外追放などと言われては、あまりにかわいそうだったから。




労役5年――――



国家への反逆に加担した者に与える刑としては軽い。

そして何より、ジェスの妹を思っての配慮。

妹がイースト地区にいるから、一緒に暮らしながら働け…と言えばいいものの、あんなにぶっきらぼうに言って。




クスッ……と思わず笑みが零れた。



すると――――


今まで進行方向にだけ目を向けていたシルバが立ち止まり振り返る。




「そんなに嬉しいか?」

「え?」

ドキッ――――


真剣にこちらを見つめる紅の瞳に、心臓が跳ねる。

間抜けにも一言だけ呟く私に、シルバが益々眉を寄せて口を開く。



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