白銀の女神 紅の王



「アイツが国外追放にならなかった事が嬉しいかと聞いている。」

「……?…えぇ、嬉しいわ。」


シルバの言葉に、疑問符がわく。

変なシルバ…

ジェスが減刑された事を嬉しく思わないわけがないのに。

だって、ジェスは私の初めての友達。

そんなジェスが、妹の為に犯した罪で重い処分が下される事になれば私だって辛い。

だから、嬉しかった。

私にとっては、心からの感謝を込めて言った言葉だった。




けれど―――――


「そうか。」


一層眉を寄せ、ポツリと呟いた後、再び前を向いて歩き出したシルバ。

慌てて、その背を追う。

心なしか、歩くスピードが速まっていた。



……なんだか…怒ってる?


背中から伝わって来る不穏な空気に、ヒヤリとする。

もう二度とこちらを見てくれないのではないかという感覚に陥ってしまう。




「ねぇ…シルバ。」


恐る恐る声をかける。



「何だ。」

案の定、前を向いたまま一言で返された。

やっぱり…と思いつつも、呼びとめた理由もなく声をかけた為、返答に困る。




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