白銀の女神 紅の王



春の木漏れ日も温かい季節。

いくら温かいといえど夜は冷え込む。


しかし、エレナは掛け布団さえ羽織らずソファーで寝ている。

恐らく賭博場でもこのような生活をしていたのだろう。




改めてソファーで眠るエレナの姿をじっと見る。




“本当は人間ではないのかもしれない”


そんな馬鹿げたことが頭に浮かんだ。




銀色の髪、白い肌。

その存在全てが月光が支配する白銀の世界に溶け込まれて消えて行きそうで…

自分とは別世界の者、触れてはいけない存在だと言われているようだった。



「っ………」



瞬間――――

賭博場で初めてエレナを見た時の激しい喉の渇きを覚えた。



“欲しい”



馬鹿な……ッ……

もう、手に入れているではないか。



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