白銀の女神 紅の王
エレナの全ては自分のものだ。
手に入れて尚、欲するこの衝動は何なのだろうか。
喉の渇きは激しくなるばかり…
その衝動を抑える術を知らず、ただ拳を強く握った。
“深入りするな”
ウィルに言った言葉を自分にも言い聞かせる。
利用する為に傍に置いているだけだ。
用が済めば捨てる。
頭の中で暗示のように繰り返しながら…
そしてエレナをソファーに置いたまま、自分はベッドに入る。
こうして後宮での生活が始まった―――
この先待ち受ける、身を焦がすような苦悩と葛藤があるとは知らず……