白銀の女神 紅の王
反逆者の影
シルバに王城に連れて来られて2日が経った。
連れてこられた翌朝、起きて見れば広い後宮にはシルバの姿はなく。
代わりに入ってきたのは自分と同い年くらいの侍女だった。
名をニーナと言い、聞けば歳は19で幼いころから王城で暮らしていると言う。
自分の容姿について何か言われるのではないかと構えていたがニーナは孤児で、世間知らずなところがあるため“エレナ様は銀色に輝いて綺麗です”などと言っていた。
ジェス以外で自分の容姿に気を使わない人や、好奇な目で見ない人は初めてだった為、少し戸惑ったけれどニーナに心を開くのに時間はかからなかった。
それはやはり彼女の天真爛漫な性格が原因しているだろう。
王城の侍女なのにどこか抜けているところがあって。
昨日の朝も朝食の紅茶の茶葉を忘れてきたり、床掃除をしていた時にバケツをひっくり返していた。
けれどそんな彼女のお茶目なところや、純粋な所に警戒心が薄れたのだろう。
ニーナが私付きの侍女に任命されたと聞いて初めてシルバに感謝した。