白銀の女神 紅の王



その点、この方法なら罪悪感をあまり感じない。

こんなにも楽しく能力を使う時が来るとは思ってもいなかった。




けれどこんなお遊びも今日まで……



「緊張していますか…?」

ニーナが不安げな表情で問う。



「えぇ、少し」

今日はこの能力を最大限に発揮しなければならない日。

シルバの家臣を集めた宴で反逆者の影を探らなければならない。

それに今日は多くの人の前に立つことになる。


能力を発揮すること以前に、人々の前に立つことが出来るのだろうか…

そんな不安もあって今日は朝から緊張していた。



「大丈夫です。シルバ様が何とかしてくださいます」

ニーナは持ち前の明るい笑顔でそう言う。

そうね…と返すが、ピンチになったとしてもあのシルバが私をかばってくれる事は期待できない。

どんな手段を使ってでも、目的遂行を成し遂げる人の様に見える。

きっとどんなに怯えても嫌だと言っても、帰してはくれないだろう。



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