白銀の女神 紅の王



「何といってもシルバ様が初めて傍に置いた女性ですし」

ニーナがニコニコと嬉しそうな笑顔で言う。


「ニーナ、何度も言っているけど、私はお金で買われて利用されているだけなのよ?」

私がここに連れてこられた理由は僅かな側近にだけ知らされている。

ニーナも私付きの侍女だから当然知っている…はずなのに…



「それでも以前のシルバ様なら後宮などに入れはしませんでした。後宮に入れるくらいなら、城下に家を建てて通う方がましだとおっしゃってましたから」

いつもニーナは嬉しそうにこう言うのだ。

後宮へ入れたのはただ見えない檻に閉じ込めたかっただけだと言うのに。

それに二人ですごす部屋だと言っても、シルバはこの部屋に帰って来ていないみたいだし…

私も城下に家を建ててくれれば良かったのに…なんて思ったのは秘密だ。

そんな私の考えなど知る由もなく、ニーナは続ける。




「今日はシルバ様目当ての女性もたくさんいらっしゃいますから、綺麗にお化粧して見せつけましょう!」

「顔を出さなきゃいけないの?」

意気込んで言ったニーナの言葉は驚くべきものだった。


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