白銀の女神 紅の王



「エレナ様は大丈夫なのでしょうか?」

今までずっと黙っていたニーナが口を開く。



「倒れた原因が疲労なので、暫く横になっていれば回復すると思います。何分エレナ様の様な方を診るのは初めての事ですので、どのくらいで回復するのかは分かりませんが…」



暫く横になれば回復する―――


その言葉を聞いて、心を支配するもの。

それはまぎれもない安堵だった。



ッ……!

そんな筈はない……

回復すると分かって安堵したのは、今エレナがいなくなると困るからだ。



自分の心を支配した気持ちを否定する。

ただ、目的の為にエレナの力が必要なだけ。

深入りはしない……

自分に言い聞かせるように頭の中で呟いた。




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