白銀の女神 紅の王



「回復するならいい」


こんな言い方しかできない自分に呆れる。

しかし、これ以上深入りするわけにはいかない。



「早く回復してくれると良いですけど…」

ウィルが、一言呟く。



「ニーナ。エレナが回復するまで、後宮で看病しろ。ウィルは俺と来い」

「「はい」」

答える二人の声が重なる。



自分たちに今出来る事がないのならここに居ても意味はない。

まずは途中で抜け出してきた宴の席の収拾をする。

そしてフォレスト伯爵だ。



奴には何かある……



必ずつきとめてみせる。

固く決意し、眠るエレナを残して後宮を後にした――――




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