白銀の女神 紅の王



「煩い」

だからいつもこの一言で済ませる。

しかし今日はまずかったらしい。



「煩い?フッ…本当にシルバは自由で良いですねぇ」

苛々しているせいでウィルの“前兆”を読む事が出来なかった。

やってしまった…

と思った時にはすでに遅かった。

ウィルは不敵なまでにニッコリとした笑顔で黒いオーラを放っている。

大体ですねぇ…と、これから始まるネチネチとした女の様な説教を覚悟していると…



コンッコンッ―――――

「お、お話し中失礼致します」

執務室の扉を遠慮がちにノックしたかと思えば、緊張で震える声が扉の向こう側からかけられる。


「何だ?」

それに素早く答える。

二人の会話に割って入ってくる時は大体面倒事を持ってくるのだが今はありがたい。

ウィルの小言を聞かされるよりは面倒事の方がマシだ。



しかし、次の言葉を聞いて呼びかけに応えなければ良かったと後悔した。




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