白銀の女神 紅の王
「デューク様が国境警備よりご帰還なされまし……」
バンッ――――――
家臣が話し終わらぬうちに執務室の扉が開く。
そして、見慣れた男が直立し口を開く。
「王直属騎士団副団長、デューク・ノーイ只今帰還した」
形式的な挨拶が似合わないのはこの男くらいだろう。
その男、デュークもそう思ったのか、すぐにいつもの高慢な態度になる。
「久しぶりだな」
「デューク!?」
デュークが手を上げれば、ウィルが驚いたような嬉しそうな表情をする。
対するシルバはうんざりとした表情で口を開く。
「帰還命令など出していないはずだが?」
ドカッと我が物顔でソファーに座るデュークに眉をひそめながら言う。
「まぁそう言うな。とっておきの情報を持ち帰ったのだからな」
鋭い物言いもデュークはただ笑って、サラリとかわす。
まるで効果がないのは昔馴染みだからだろう。
デュークもまた従兄だった。