白銀の女神 紅の王
するとそれまでのふざけた態度など微塵も見せず、スッと細められた漆黒の瞳がこちらを見る。
「お前が俺に調査させていた件だがやっと奴らの尻尾を掴む事が出来た」
そう言って机に投げられたのは何かの書類の束。
「これは?」
訝しげな表情を作り、投げた本人に視線をやれば…
本人は優雅に茶を飲んでいる。
「反逆を企てている者たちだ。まぁ…そいつらはごく一部だがな」
大して興味もない様な言い方をするデューク。
「首謀者は分かったか?」
「まだだ。こいつらは下っ端だろう、親の名前さえ知らなかった」
興味がなさそうな言い方だったのはこのせいか。
たかが下っ端を何匹捕まえようがこの男は満足しない。
そして、下っ端を捕まえても俺に報告さえしない。
それがデュークという男だ。
しかし、王城にまで帰還したということは他に何か重要な報告があるからだろう。
「それで?まだあるんだろう?」
そう言えば、やはりデュークはニッと獰猛な笑みを浮かべ、あぁと言う。