白銀の女神 紅の王
「でも何故ギルティス王国と組んだんでしょうか。前王のアイザックスの政権下の時も敵対していたというのに」
ウィルの疑問を抱くのも無理ない。
アーク王国の東に位置する隣国のギルティス王国とは、アイザックスの政権下以前から争いが絶えない関係だった。
そのギルティス王国とアイザックスの家臣たちが組むことなど考えにくかったのだろう。
しかし……
「どうせ俺たちに対抗する力を蓄えようと思っているんだろう」
デュークが当然だとばかりに答える。
流石に鋭い奴だ…
自分と同じ性質を持っているからか、答えは一緒だった。
「俺がこの国の王に即位した時、アイザックスの家臣たちは降格させたからな。反乱を起こすには資金も必要だ。その為の力を、敵戦国であるギルティス王国に求めるとは、馬鹿な貴族どもが考えそうな事だ」
そう、反逆者たちは“数”はあっても“資金”がなかった。
内乱を起こすのにも武器を買うための金が必要だ。
しかし、アイザックスを討った時に奴の家臣たちの身分を降格させるとともに、財産を抑えた。
内乱を起こそうという馬鹿な考えを起こさせないために…