ナンパ男との恋2
部屋に入るけれど
輝樹はそのまま部屋を出て
行ってしまった。

ゆっくりと
いつもの場所に座り
近くにあった鏡で
自分の顔を
恐る恐る覗き込んだ。

左頬が 口元にかけて
大きく膨らみ
唇の横は
赤いアザができている。

血の味と、消毒液の味が
まだ口の中に残ってるけれど
想像してたほど
ひどい顔になってなくて
少し 安心した・・・

この頬の腫れさえひけば
アザは 化粧で どうにかごまかせそうなんだけどな・・・

けど・・・・

学校・・・どうしよう。

お母さんに何て言おう。

美香には 治るまで会うわけにはいかないし・・・

そんな事を考えていると
思わず 大きなため息がこぼれた。

そんな事を考えてるうちに
輝樹が部屋へ戻ってきた。

「ほら、これ」

渡されたのは
薄いタオルに包まれた保冷剤と飲み物。

「ちゃんと冷やしとけ」

「うん、ありがとう・・・」

冷たいタオルを
頬にあてながら
もらった飲み物を口の中に含むと

少し しみるけど
さっぱりする。

「何で、あいつの所に行った?」

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