ナンパ男との恋２

家の前に車を停めると
お父さんとお母さんが
音に気づき　外まで出てきた。

暗くて表情は見えないけれど
お父さんは
腕を組み、仁王立ちで
こっちを凝視している。

ゆっくりと
車から降り
輝樹と並んで
お父さん達が立っている
玄関の方へ歩く。

外灯の明かりで
私の顔が見えた途端
お父さんの怒鳴り声と共に
輝樹に掴みかかる姿が
目に飛び込んできた。

「違う！輝樹は関係ないのっ」

必死で　お父さんに叫ぶけれど
私の声は届かず
私とお母さんが　お父さんを押さえつけ

「とりあえず、輝樹くん
中に入ってちょうだい・・・」

お父さんが　少し落ち着いた所で
みんな　中へと入った。

時計の音だけが響く室内で
沈黙が続いた後・・・

「すいませんでした！」

輝樹が　膝をついて
お父さん達に頭を下げた。

「ちょっ、輝樹！
何で　輝樹が謝るのよ」

「・・・誰が　娘をこんなにしたんだ？
お前がしたのか？」

「ちがっ、輝樹は関係ない」

「春菜は黙れ。
俺は　この男に聞いてるんだ」

「俺の・・・後輩です」



「もういい、帰れ」

そう一言　輝樹に告げると
お父さんは　他の部屋へ行ってしまった。

「輝樹くん・・・
ごめんなさいね・・・
春菜、一人っ子で・・・
大事に育てられてきたから・・・
あの人も悪気はないのよ・・」

お母さんが申し訳なさそうな顔で言いながら　
ため息をつく。