ナンパ男との恋２

リビングに行くと
お父さんとお母さんの
言い争う声が聞こえ
そっと覗くと

「何で、あなたは
娘の気持ちを分かろうとしないのよ！
輝樹くんが　どんな思いで
昨夜来たか考えないの？
春菜は
あなたの所有物じゃないのよ！」

「元はと言えば、春菜を
自由奔放にさせてたお前が悪いんだろ。
あんな顔で帰ってきて
一人暮らしなんてさせれるか！
だいたい、周りに　そんな暴力的な人間がいる事自体　安心して　ここに置いておけないだろ」

「・・・・・・・・
あの子・・の
気持ちくらい聞いてあげてもいいじゃない・・・
どうして・・・
自分の考えを　そのまま子供に押し付けようとするの？」

震えた声で
お父さんに向かって　そう言うと
イスに座り　うつぶせになった。

「お前は・・・
春菜に一人暮らしなんてさせて
心配じゃないのか？」

「母親なんだから
心配に決まってるじゃない。
だけど・・・
あの子、昨夜
ガマンしてたのよ・・・
あなたに言われるがまま
自分の意見なんて言わなかったじゃない・・・
私達がつらいんじゃない、あの子が一番つらいのよ？
どうして、考えてあげる事ができないの？」


「とにかく、
俺は　一人暮らしなんてさせないからな」


そう言うと
お母さんに背中を向けた。

「もう、いいわ・・・
あなたが　そう言うなら
私は　あなたの所なんて行かない」

「何言ってるんだ？ばかばかしい・・
俺の所に来なくても
この家に住むことなんてできないぞ。
売りに出すからな」

「えぇ、そうね。
だから、私と春菜は
アパートでも借りて
２人で暮らすわ」