青空。
赤くなったほっぺをさすりながら由香が言った


「それで?兄さんの事、本当に好きになった」


「……今はまだよくわからないよ……そりゃあ話してるだけでドキドキするしさ…でも<ヒヨコ>さんの事も好きみたいだし…」


「ねぇ、兄さんに志保の事聞いてみる?」


「由香~そういう余計な事したらまた摘むよ?」


「わかった、わかったから摘まないで~」


「自分で幸宏さんの気持ち聞きたいから……」


「気持ちはわかるからね…<ヒヨコ>さんの方はどうするの?」


「退院したら、一度会ってみようと思ってる…まだ聞いてないけど……」


「ふ~んそっかぁ~…」
なぜかにやけ顔の由香


「由香まだ何か隠してる?」


「もぅ何もないよ~志保」


「な~んか怪しいんだよね…由香の態度」


「気のせいだよ志保…あっ退院するって言えばさ、退院したら志保どうするの?就職の事と家の事………」


「そうだよね……どうしよう…今までは寮にいたからね…」


「あのさ、相談しないとわからないけど、今私が住んでる家に住まない?」


「前に由香が話してた家?」


「そうなの、私今ね"夜空"のマスターさんの家にお世話になってるの」


「マスターさんの家に?お兄さ……幸宏さんと一緒じゃないの?」


「うん、兄さんもマスターさんの家に住んでるんだって…私あれから兄さんに相談したら、マスターさんが家に住みなって、それで"夜空"で働きなって言ってくれてね……」


「由香、今"夜空"で働いてるの?」


「前にも言わなかったっけ?兄さんの所で働く事になったって……」


「そういえばそんな事言ってたね……そっか幸宏さんが由香のお兄さんなんだから"夜空"で働いてるって事か……」


「志保って、本当鈍感だよね~色々な意味で……(笑)」


「どういう事~?」


「ううん…何でもない、私マスターさんに聞いてみるね」


「でも、マスターさんの迷惑にならないかな……?」


「逆に嬉しくて泣いて喜ぶと思うよ、兄さんも一緒に住んでるから♪志保にとっていい条件でしょ?」


「だから~まだ幸宏さんの事、本当に好きかどうかわからないんだから」


「わかってる……マスターさんに聞いてみるね…もう面会時間終わるから帰るね」


「由香……ありがとうね」
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