誘拐犯は私の彼氏!?
私の倍はあるであろう巨体に、太い手足。
太い眉と鋭い目が威圧感をより感じさせる。
まくった袖から見える腕には、大きな古傷が刻まれていた。
明らかに一般人にはない雰囲気を漂わせるこの男の視線が、私に縄をかけた犯人に向けられたとき。
弱々しい犯人の顔から、血の気が一気に引いていくのが見てとれた。
あの細い目に見据えられ、呼吸すらまともにできないほど怯えている。
主犯の男の手が、ゆっくりとこちらに向かって伸ばされる。
指先が微かに動いた時、それが手招きだと気づくまでに少し時間がかかった。